
「老健で働く介護士って、どんな仕事をしているの?」
「病院と特養の違いがよくわからない」
介護の仕事に関心がある方の中には、そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
介護老人保健施設(老健)は、病院と自宅の中間に位置する施設です。入居者が再び自宅での生活を送れるように、リハビリと日常生活の両面から支援の支援を目的としています。
この記事では、
・老健で働く介護士の仕事内容
・老健での仕事の魅力ややりがい
・老健で働くのに向いている人の特徴
まで詳しく紹介します。
医療と介護の知識を両方身につけたい方には、絶好のステップアップの場です。
記事を参考に、介護士スキルのさらなる向上を目指しましょう。
老健は医療と在宅の橋渡しとなる施設
老健のもっとも重要な役割は「在宅復帰を目指すリハビリ施設」としての位置付けでしょう。
入居者は、病気やけがの治療を終えた後、すぐに自宅へ戻るのが難しい方が中心です。
・理学療法士(PT)
・作業療法士(OT)
・言語聴覚士(ST)
・管理栄養士
などの専門職とチームを組み、医療と生活支援を組み合わせたケアを行います。
特養(特別養護老人ホーム)が「終の棲家」であるのに対し、老健は「自立に向けたリハビリ」が主な目的です。
医師や看護師が常駐しており、介護士はリハビリのサポートや生活介助を担うチームの一員として活躍しています。
老健介護士の主な仕事内容と特徴

老健で働く介護士の仕事内容を以下のようにまとめました。
◆日勤の仕事内容
老健の介護士は「生活支援+リハビリ支援」の両輪で動きます。
・起床・整容・トイレ誘導・食事介助
・入浴や体位交換、環境整備
・リハビリへの誘導と付き添い
・昼食介助、口腔ケア、レクリエーション
・排泄介助・記録・カンファレンス参加
午前は入浴とリハビリが重なりやすく、時間管理とチーム連携力が鍵です。入居者の表情や体調変化を察知し、看護師へ共有する観察力も必要です。
◆夜勤の仕事内容
夜勤は少人数体制の中での見守りが中心です。
・夕食・服薬確認・就寝介助
・巡回、体位交換、
・排泄介助
・ナースコール対応
・起床介助・朝食準備・記録
医療的ケアが必要な入居者も多く、異常時の判断と報告力が欠かせません。
静かな時間帯こそ、介護士の冷静さとていねいさが問われます。
チーム医療との連携が学べる

老健の最大の特徴は、多職種による連携体制が整っていることです。
医師・看護師・リハビリ職と日常的に関わるため、医療知識を自然に吸収できる環境があります。
例えば、褥瘡(じょくそう)予防や嚥下訓練のサポート、服薬管理の確認など、医療的ケアも看護師と協力しながら介護士が担うケースもあります。
「医療にも関わりたい」「より専門的な介護を学びたい」方にとって、老健は成長できる職場といえるでしょう。
老健介護士の1日スケジュール例
老健の介護士の仕事の流れを日勤と夜勤でお伝えします。
【日勤のスケジュール例】
| 時間 | 主な業務 | ポイント |
| 8:30 | 出勤・申し送り | 医師・看護師・PTとの情報共有 |
| 9:00 | 状態確認・排泄介助 | 体調変化の観察が重要 |
| 10:00 | 入浴・リハビリ誘導 | 転倒予防に注意 |
| 12:00 | 昼食・口腔ケア | 誤嚥防止を意識 |
| 13:00 | 休憩 | チーム内の連携確認 |
| 14:00 | レク・体操支援 | できる喜び”を引き出す |
| 15:30 | 排泄介助・記録 | 状況を具体的に残す |
| 16:30 | 申し送り | 夜勤者へ必要な情報を的確に |
| 17:30 | 退勤 |
日中は活動量が多く、入居者の変化にすぐ気づける観察眼が求められます。
【夜勤のスケジュール例】
| 時間 | 主な業務 | ポイント |
| 16:30 | 出勤・申し送り | 日勤からの引継ぎ内容を
丁寧に確認 |
| 17:00 | 夕食介助・服薬確認 | 食事量・水分摂取を観察 |
| 18:30 | 就寝準備・口腔ケア | 声かけをしながら安心感を与える |
| 20:00 | 消灯・巡視 | 眠前薬やナースコール対応を忘れずに |
| 22:00 | 排泄介助・オムツ交換 | 清潔・快適な睡眠環境を整える |
| 0:00 | 巡視・体位変換 | 呼吸状態・表情など異変を確認 |
| 2:00 | 巡視・ナースコール対応 | 転倒・離床のリスクに注意 |
| 4:00 | 早朝の排泄介助 | 尿量や排便の記録も忘れずに |
| 6:00 | 起床介助・整容・朝食準備 | バイタル測定・体調変化の観察 |
| 7:30 | 朝食・口腔ケア | 食事量の変化がないか観察 |
| 8:30 | 申し送り・退勤 | 日勤スタッフへ夜間の様子を報告 |
夜勤は入居者の安眠を守ると同時に、体調変化への早期対応力が求められます。
長時間勤務となるため、仮眠や水分補給など自己管理も大切です。チームで連携しながら、夜間の安全を支えるのが老健介護士の大きな役割でしょう。
老健で働くやりがいは医療との連携と在宅復帰

ここでは、老健の仕事がやりがいにつながる3つの魅力をお伝えします。
■ 医療的ケアと介護を同時に学べる環境
老健では、日々のケアを通じて医療的知識が自然と身につきます。
看護師やリハ職と協働することで、生活を支える介護と身体を回復させるリハビリを両立できます。スキルアップを目指す介護士にとって、キャリア形成に直結する環境です。
■入居者の在宅復帰を支える喜び
老健のゴールは、入居者が自宅で再び暮らせるようになることです。
リハビリの成果が見えるたびに、介護士自身の達成感も大きく感じられるでしょう。
退所の日に「ありがとう、また自分の家に帰れる」と笑顔で送り出す瞬間は、何物にも代えがたい喜びがあります。
■ 専門的なチームに支えられる安心感
老健は医師・看護師・リハ職・介護士が協働する職場です。
それぞれの専門性を尊重しながら、入居者の在宅復帰という同じ目的に向かって動きます。 「一人で抱え込まない介護」を実現できるのも、老健の大きな魅力です。
老健で働く上で大変なのは医療的ケアとスピーディーさ
老健の介護は、医療知識や観察力が求められる分、覚えることが多くプレッシャーも大きいのが現実です。
点滴管理や酸素吸入など、医療的ケアを行う入居者も多く、看護師との連携が欠かせません。
また、在宅復帰を目指すため、利用期間が数カ月と短く、入居者の入れ替わりが多い点も特徴です。 その分、短期間で信頼関係を築く力が自然と身につきます。
「介護+医療の知識を伸ばしたい」「動きのある職場で成長したい」という人にとって、
老健は挑戦しがいのある環境といえます。
老健の介護士にはこんな人がおすすめ

施設の特徴や大変さを踏まえたうえで、老健で働くことをおすすめする人は次のとおりです。
・医療知識を身につけてスキルアップしたい方
・動きのある職場で働きたい方
・チームで連携しながら仕事をしたい方
・入居者の在宅復帰というゴールを支えたい方
まとめ:老健介護は医療と生活支援を学べる最高のステージ

老健で働く介護士は、医療と介護の橋渡し役として欠かせない存在です。
生活を整えながらリハビリを支え、在宅復帰を見届ける 。そのすべての過程に、介護士の力が必要です。
高齢化が進む今、医療連携ができる介護士は、どの現場でも重宝されます。
老健での経験は、将来のキャリアを大きく広げる財産になるでしょう。
介護の知識を深めながら成長したい方は、ぜひ老健の仕事に挑戦してみてください。
チームで支える介護の魅力を実感できるはずです。



