
介護の現場では、毎日さまざまな人と関わり、心身のサポートを行っています。
しかし、介護職への就職を考えている人は「介護職の1日はどんな内容なのか」「現場で実際にどんなことをしているのか」といった疑問を持っているでしょう。
この記事では、介護の仕事内容や1日のスケジュールを紹介します。
介護の基本業務

介護の仕事は「人の生活を支える」ことが中心です。ここでは、介護職の基本業務を中心に紹介します。
1.身体介護の内容と役割
2.生活援助に求められるスキル
3.介護記録・報告業務の重要性
なお、実際の介護現場では、特別養護老人ホーム(特養)やデイサービス、訪問介護など、勤務先によって求められる仕事内容が異なります。それぞれの特徴を正しく理解しておきましょう。
身体介護の内容と役割
身体介護とは、利用者の身体に直接触れて行う支援です。食事や入浴、排泄、着替え、移動など、日常生活に欠かせない動作をサポートしています。
たとえば、入浴介助では、体調を確認しながら安全に入浴できるように利用者を見守り、転倒を防ぎます。ただ介助をするだけでなく、利用者の尊厳を守りながら自立をうながす声かけが重要です。
入浴介助には、単なるお世話ではなく「その人らしく生活できるように支援する」という専門性が求められます。
生活援助に求められるスキル
生活援助は、掃除や洗濯、調理、買い物など、利用者の生活環境を整える支援で、在宅介護では特に重要な役割を果たします。
生活支援は、利用者の好みや生活習慣を尊重しながら行うため、観察力やコミュニケーション能力が欠かせません。家事を代行するだけではなく「どうすれば利用者が安心して暮らせるか」を考えて行動する必要があります。
介護記録・報告業務の重要性
介護の現場では、1日の業務や利用者の体調変化を記録し、チーム全体で共有します。介護記録は、ケアの質を保つための基礎です。そのため、口頭では伝わらない情報も正確に残しましょう。
最近ではICT(情報通信技術)の導入が進み、タブレットで簡単に記録できるシステムも増えています。
ICTとは、通信技術の役割や通信技術を使う人とのコミュニケーション、知識の共有などの側面を重視するものです。
現代では、スマートフォンでのビデオ会議やクラウドサービスを使った共同作業などで活用されています。
介護現場においては「ChatWork」を使用した情報共有が進んでいます。従来の電話連絡では、以下のような問題点がありました。
・利用者の情報がスタッフ間で正確に共有できているか不安だった
・サービス責任者の業務時間の多くがスタッフからの電話に割かれていた
「ChatWork」の使用により、情報が正確に伝わってサービス責任者とスタッフのストレスが減りました。その結果、サービスに集中できる環境が整い、離職防止や採用コストの低減につながっています。
介護職の1日のスケジュール例

介護の仕事内容は施設の種類によって異なります。ここでは、特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護の3つの現場での代表的な1日の流れを紹介します。
どの現場でも求められるのは「利用者の生活リズムに合わせたサポート」です。
特別養護老人ホーム職員の1日
特別養護老人ホームでは、早番・日勤・遅番・夜勤などのシフト制で働きます。早番の場合は、朝6時ごろから起床介助や食事介助を行い、午前中は入浴や清掃、レクリエーションなどを実施します。
午後は記録や申し送り、翌日の準備を行い、夕方には退勤する施設が大半です。1日を通じて、利用者一人ひとりの体調変化に目を配りながら支援します。
夜勤に該当する時間帯については、法令による定めがありません。そのため、施設やシフトによって勤務時間が異なります。利用者の生活に合わせて施設側が勤務時間を決定します。
多くの施設では、16:00〜17:00から翌朝9:00〜10:00の範囲が夜勤担当者の勤務時間です。
実際の勤務時間は16時間と長くなるため、約2時間程度の休憩や仮眠の時間が確保されています。
夜勤では、夜間に定期的に巡回して、体調のチェックや利用者からのオンコールに対応する「安否確認」が実施されます。
デイサービススタッフの1日
デイサービスでは、利用者が日中だけ通所するため、送迎やレクリエーション、入浴介助・食事介助などが主な業務です。
朝は送迎車で利用者を迎え入れ、午前中に体操やゲームを行います。午後には入浴とレクリエーションを実施し、夕方には利用者を自宅まで送り、一日の振り返りと記録を行います。
家庭的な雰囲気の中で、利用者と笑顔を交わす瞬間が多い現場です。
デイサービスには夜勤がなく、要介護度が低い利用者が多いため、体力に自信がない人でも働きやすい点がメリットです。
訪問介護員(ホームヘルパー)の1日
訪問介護員は、利用者の自宅を訪問し、決められた時間内で必要な介助を行います。
午前中は身体介護、午後は生活援助など、1日に複数の家庭を訪問します。厚生労働省の「令和5年度介護事業経営実態調査結果」によると、常勤職員の1人当たり訪問回数は月間で104.6回です。月20日の場合、1人当たりの1日の訪問件数は平均5.2件です。
訪問介護の現場では、移動時間やスケジュール管理も仕事の一部であるため、自己管理能力が求められます。
また、利用者と1対1で関わるため、信頼関係が深まりやすいのが特徴です。
まとめ

この記事では、介護の仕事内容や1日のスケジュールを紹介しました。
介護の仕事は「人の生活を支える」ことが中心です。ただし、実際の介護現場では、特別養護老人ホーム(特養)やデイサービス、訪問介護など、勤務先によって求められる仕事内容が異なります。それぞれの特徴を正しく理解しておきましょう。
後編では、やりがいと苦労などを紹介します。実際の介護現場をリアルに描きながら、介護の魅力と課題をわかりやすく解説します。



