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介護業界の最新動向・ニュース

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介護業界の最新動向まとめ|人材不足やDXについて解説!~後編~

近年では、少子高齢化が加速し、介護業界は、人材不足の深刻化や制度改正の必要性、テクノロジー活用の遅れなど、かつてないほど多くの変化と課題に直面しています。

前編では、2025年現在の介護業界の環境や最新の動向を解説しました。後編では、2025年現在の介護業界の課題や展望を解説します。

介護業界の課題

介護業界の課題はさまざまあります。特に深刻な課題は以下の3点です。

 

1.職員の賃金や労働環境の改善

2.介護事業所の経営リスク

3.新しいサービスモデルの普及

 

介護業界では、制度改正や新しいテクノロジー導入が進む一方で、現場には依然として多くの課題が残されています。

 

介護業界が抱える根本的な問題と、その背景を正しく理解しましょう。

 

賃金・労働環境の改善

 

介護職員の賃金は、全産業平均と比べて低水準です。

たとえば、厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇等調査結果」によると、介護職員の月収は平均約34万円程度と報告されています。令和5年9月と令和6年9月の状況を比較すると、

13,960円増加しています。

 

なお、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」では、給与所得者全体の月収は平均約38万円程度です。

 

介護業界では、処遇改善加算が段階的に強化されてきたものの、現場では「夜勤や残業の多さに見合わない」「生活が安定しない」という不満もまだまだあります。

 

なお、介護職員等処遇改善加算とは、介護職員の待遇の安定や賃金の向上のために設けられた制度です。

 

さらに、労働環境の面では、以下の3点が課題となっています。

 

・夜勤専従職員の負担

・人員不足による休日取得の難しさ

・メンタルヘルスケアの不足

 

特に、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐために「ストレスチェック制度」が導入されました。

 

「ストレスチェック制度」とは、常時50人以上の従業員を雇用する事業場で、年1回以上の労働安全衛生法で義務付けられている制度です。

 

従業員自身が回答したストレスに関する質問票を分析・評価し、調査結果で高いストレスを抱えていると判断された人は、産業医の面接指導が受けられます。

 

事業所では、集団分析の結果を踏まえ、職場環境の改善に取り組むことが努力義務とされています。

 

介護事業所の経営リスク

 

信用調査会社「東京商工リサーチ」によると、2024年度の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産は179件です。前年度比は36.6%増となっており、過去最多を記録しました。

 

近年では、成長市場である介護業界に多くの企業が参入し、介護施設の数が増加傾向にあるため、利用者獲得の競争率が上がっています。くわえて、慢性的な人手不足や介護用品の高騰などが原因で負担が増したために、倒産数が増えたと考えられています。

 

新しいサービスモデルの登場と普及

 

AIやIoTを活用した見守りシステムや介護ロボットが、一部施設で導入されました。IoTとは、身の回りのさまざまな「モノ」にセンサーなどを搭載し、インターネットに接続し、データの収集や交換、分析を行う技術で「モノのインターネット」とも呼ばれます。

 

たとえば、夜間の転倒事故を防止するために、ベッドセンサーで利用者の起き上がりや離床を検知し、スタッフに通知するシステムが導入されています。

 

しかし、新たなテクノロジーを導入するには、数百万円単位のコストがかかるだけでなく、研修や運用管理のための人材も必要です。そのため、普及もなかなか進みません。

 

また、都市部の大規模施設では導入が進んでも、地方の小規模施設ではコスト面から導入できず、結果としてサービスの質に差が出てしまう点も課題です。

 

今後の介護業界の展望

今後の介護業界の展望について、以下の3つの観点から解説します。

 

1.社会保障制度の持続可能性

2.介護人材育成の取り組み

3.テクノロジーとケアの融合

 

介護業界は、今後も高齢化の進行に伴って需要が増加する一方で、制度や人材確保の持続可能性が問われています。

 

社会保障制度の持続可能性

 

日本の社会保障費は年々増加しています。なかでも、大きな割合を占めているのが、介護給付費です。

 

2025年には、介護保険制度の見直しが行われ、利用者の自己負担割合を引き上げる議論もされています。

 

利用者の自己負担割合の引き上げは、社会保障費の持続可能性を維持するための措置です。しかし、利用者や家族の経済的負担が増える可能性もあり、業界全体でのバランスが求められています。

 

介護人材育成の取り組み

 

これまでの人材育成では、介護技術の習得が中心でした。しかし、今後はICTスキルや外国人スタッフとのコミュニケーション能力など、新しいスキルが求められます。

 

たとえば、介護記録を電子化する「LIFE(科学的介護情報システム)」に対応できるスキルや、AIを活用したケアプラン作成の知識は、これからの現場において必須のスキルとなるでしょう。

 

なお、LIFEとは、全国の介護施設や事業所で記録されている利用者の認知症や嚥下、口腔などの心身状態や、プランやケアの内容を収集・分析し、分析結果を事業所へフィードバックするシステムです。

 

また、外国人介護士の増加にともない、日本語教育や文化理解の研修を充実させる取り組みも始まっています。

 

テクノロジーとケアの融合

 

介護分野におけるテクノロジーの活用は、単なる効率化ではなく、ケアの質の向上に直結するでしょう。

 

たとえば、AIによる利用者の転倒リスク予測や食事・栄養管理の最適化は、利用者の健康維持に大きく寄与します。

 

また、遠隔医療やオンライン相談のしくみが普及すれば、地方や過疎地域でも都市部と同じような専門的なケアが受けやすくなります。

 

ただし、テクノロジーを活用するためには職員側のスキルアップが不可欠です。単なる導入ではなく、導入したテクノロジーを運用して、定着させるしくみづくりをしなければいけません。

 

まとめ

この記事では、2025年現在の介護業界の環境や最新の動向を解説しました。後編では、2025年現在の介護業界の課題や展望を解説しました。

 

介護の未来は、制度やテクノロジーだけで決まるものではなく、現場で働く人や家族介護をになう人々の行動や工夫によって形づくられています。

 

業界の変化を正しく理解し、できることから取り入れれば、より安心して暮らせる社会が実現するでしょう。