
近年では、少子高齢化が加速し、介護業界は、人材不足の深刻化や制度改正の必要性、テクノロジー活用の遅れなど、かつてないほど多くの変化と課題に直面しています。
介護職として現場で働く人や、自宅で家族のケアをしている人が介護業界の変化やこれからの介護業界について明確に理解しなければいけません。介護についての理解は、安心、安全な介護サービスの提供や、介護者自身の負荷軽減にもつながります。
この記事では、2025年現在の介護業界の環境や最新の動向を解説します。
2025年の介護業界の実態

2025年現在の介護業界の実態について、以下の観点で説明します。
1.人口構造の変化と介護ニーズの拡大
2.制度改正と政策の動き
3.現場における課題の顕在化
それぞれ詳しくみていきましょう。
人口構造の変化と介護ニーズの拡大
2025年現在、日本の人口の5人に1人が75歳以上の後期高齢者になりました。この問題は「2025年問題」とも呼ばれており、働き手の不足により、医療や福祉といった分野にも深刻な問題を引き起こす可能性があります。
厚生労働省の「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」では、2025年度末までに約55万人もの介護人材を確保する必要があると発表されました。
介護現場は現在すでに慢性的な人材不足に悩んでいるにも関わらず、さらに人手不足が深刻化するでしょう。
75歳以上の後期高齢者には、介護を必要とする人も多くいます。厚生労働省の調査によると、23.3%の人が要介護の認定を受けています。また、近年では、介護する側も高齢者である「老老介護」も増えており、介護を行う家族の負担は今後も大きくなるでしょう。
制度改正と政策の動き
2024年度の介護報酬改定で、以下の3つの加算制度が「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。
・介護職員処遇改善加算
・介護職員等特定処遇改善加算
・介護職員等ベースアップ等支援加算
介護職員等処遇改善加算とは、介護職員の待遇の安定や賃金の向上が目的で設けられた制度です。
従来の介護職員等処遇改善加算では、介護報酬は、国が定める基準を踏まえて算出された公定価格でした。そのため、職員の給与を上げにくく、人材確保が困難であったため、制度が見直されました。
また、2025年4月からは「育児・介護休業法の改正」が段階的に施行されています。この改正では、介護離職防止を目的としており、事業主には以下の義務が新たに課されました。
・介護離職防止のための個別の周知・意向確認:
家族の介護が必要になった従業員に、会社が介護休業制度などの利用の意向を確認する
・雇用環境整備等の措置
仕事と介護を両立するための職場環境づくり
勤続6ヶ月未満の労働者の労使協定除外のしくみが廃止され、介護休暇が取得しやすくなっています。
現場における課題の顕在化
現場では、高齢者の増加に対し、介護人材の確保が追いついていません。
厚生労働省の「令和4年版労働経済の分析」によると「介護サービスの職業」や「社会福祉の専門的職業」では求職者が過小となっています。
介護人材が不足すると、職員ひとりあたりの負担が大きくなります。
たとえば、介護ケアに必要なスタッフの人数が不足すると、見守り不足になるでしょう。その結果、利用者の転倒事故などにもつながるかもしれません。
また、人手不足によって起きる介護サービスの質の低下も深刻な問題です。業務負担が増え、耐えられなくなった職員が辞めてしまうという悪循環が続いてしまいます。
介護現場の人手不足には、以下の背景があります。
・賃金水準の低さ
・ほかの産業との人材獲得競争
・現場の過重労働
介護の仕事の魅力を伝え、定着率を改善することが急務です。
介護業界の最新動向

現在の介護業界において特に注目されている動向を解説します。
1.外国人介護士の受け入れ
2.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
3.介護ロボットの導入
4.在宅介護と地域包括ケアシステムの進展
それぞれ詳しくみていきましょう。
外国人介護士の受け入れ
介護現場の人手不足対策のひとつとして、外国人介護士の採用をする事業所や施設が増加しています。
外国人が日本の介護現場で働くには、在留資格が必要です。在留資格は、以下の4つに区分されます。
・EPA介護福祉士候補者
・在留資格「介護」
・技能実習
・特定技能
どの在留資格でも取得要件があり、それぞれできる作業が異なります。
また、外国人介護士の受け入れにあたっては、言語や文化、研修体制などの壁があり、雇用だけでは解決できないでしょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
近年では、勤怠管理やシフト調整、書類作成などの事務作業をICTツールやシステムで効率化する施設が増えています。
たとえば、SOMPOケアが導入した「FIKAIGO」は、シフト作成や行政書類を自動作成し、効率化を図るSaaS(Software as a Service)です。「FIKAIGO」を導入した結果、現場の負担が軽減されました。
また、見守りシステムやセンサー技術の導入も進んでおり、複数の高齢者を少数のスタッフで安全に見守るしくみが整ってきています。
介護ロボットの導入
介護ロボットは「介護支援ロボット」や「介護福祉ロボット」とも呼ばれます。介護が必要な人を補助し、介護する人の負担軽減を目的として開発されました。
現在では、入浴支援や移乗支援ロボットなどが、一部施設で導入・実験段階にあります。たとえば、移乗支援ロボットは、要介護者の歩行支援や、荷物を運ぶために使われるロボットです。
介護ロボットの導入により、介護職員の肉体的負担の軽減はもちろん、介護サービスの質の均一化にも期待されています。
在宅介護と地域包括ケアシステムの進展
近年では、できるだけ住み慣れた場所で暮らす「在宅介護」のニーズが急増しています。在宅介護は、高齢者本人や家族の生活の質を保つためのものです。
また、在宅介護を支えるために、行政や医療、福祉の連携や「住まい・生活支援サービス」の整備が進んでいます。さらに、住宅改修や福祉用具の導入支援など、物理的な住環境の改善も注目されています。
まとめ

この記事では、2025年現在の介護業界の環境や最新の動向を解説しました。
近年の介護現場では、人材不足への対応やデジタル化の加速、ロボットの活用などが注目されています。いずれも介護者と利用者の生活を支えるための重要な要素です。
後編では、介護業界の課題や今後の展望などを解説します。



