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高齢者の冬季うつとは?介護者が知っておきたい症状や原因とケア方法

「最近元気がない」「食欲が落ちている」「昼間なのに眠気が強い」

身近な高齢者の方に、気になる変化はありませんか?

これらは単なる加齢のせいではなく、「冬季うつ(季節性うつ病)」のサインかもしれません。秋から冬にかけて、日照時間が減ると気分が落ち込みやすくなる方がいます。特に高齢者は、体内リズムの乱れや外出機会の減少により発症リスクが高まる傾向があるのです。

さらに高齢者では、うつの症状と認知症の区別が難しいことも見逃せない特徴といえるでしょう。

この記事では

・冬季うつの原因

・高齢者に見られる冬季うつの症状

・高齢者の冬季うつを防ぐ生活習慣

・冬季うつを悪化させないポイント

を詳しく解説します。冬を明るく乗り越えるヒントとして、ぜひご活用下さい。

 

1章:高齢者の冬季うつとは?

寒い季節は、太陽にあたる時間が減ることと心の変化が重なり、季節の影響を受けやすい傾向があります。

まず、冬季うつの特徴を整理してみましょう。

冬季うつの原因は?

人間の身体は、日光に照射されることで「幸せホルモン」とも言われる、神経伝達物質のセロトニンが分泌されます。日にあたる時間が短くなるとなると、幸せホルモンの分泌も減少してしまうのです。

冬季うつは、正確には「季節性情動障害」と名称で、冬季になると気分が沈みがちで活力や興味を失う、うつ病の一種です。

 

高齢者と冬季うつの関係

高齢者は、加齢により体内時計が乱れやすくなり、朝の目覚めや夜の眠りが不安定になりやすい特徴があります。さらに、寒さで外出や運動が減り活動量が少なくなる点もリスクといえるでしょう。

加えて、一人暮らしや家族との交流不足による孤独感が心の負担を強め、冬季うつが起こりやすい状況につながります。冬季うつは気分の落ち込みだけでなく、体や生活のリズムに幅広い影響を与えます。

参考:①日本語における季節性情動障害(SAD) |翻訳

②日本看護研究学会雑誌 Vol. 41 No. 1 2018: 冬の日照時間が短い地域に住む日本の高齢者における, 冬と夏の睡眠の質に関連する要因

 

2章:高齢者に見られる冬季うつの症状

冬季うつの代表的な症状は、以下のとおりです。

 

・気分の落ち込みや憂うつ感を感じやすい

・身体が重たく感じられ運動能力が低下する

・食欲が増減し睡眠障害を発症する

 

この章では、高齢者に多くみられる代表的な症状を3つに分けて解説します。

気分の落ち込み・意欲の低下

 

寒い季節になると気分が晴れず、何をしても楽しめないと感じる方が増えます。

高齢者では「以前は好きだった趣味に関心がなくなる」「外に出るのがおっくうになる」といった意欲低下が特徴的です。放置すると生活全体の質の低下につながります。さらに、やる気を失い集中力が続かない場合も注意が必要です。

 

身体的なだるさや慢性疲労感

 

心の症状に加えて、身体の重だるさや疲労感が続くこともよくあります。

十分に休んでも回復しにくく、「常に体が重い」と感じやすいのが特徴です。加齢による体力低下と重なり、転倒や持病の悪化につながるリスクもあります。そのため、心身両面からの理解と対応が求められでしょう。

睡眠・食欲の変化


冬季うつでは「眠っても眠い」「朝起きられない」といった過眠傾向が目立ちます。また、甘い物や炭水化物を欲することが多く、体重増加につながるケースも見られます。

高齢者にとって睡眠や食事の乱れは体調悪化に直結するため、早めの気づきが重要です。

 

他にも、頭痛やめまい、肩こり、吐き気、耳鳴りなどの不調の原因を探ると、冬季うつが関係していたというケースも珍しくありません。

 

認知症と関連している冬季うつの症状

冬季うつは、気分の落ち込みや集中力低下などから認知症ではないかと勘違いされることがよくあります。実際にアルツハイマー型認知症ではうつ症状が合併しやすく、認知症が悪化するケースも報告されています。

冬季うつがきっかけで認知症に繋がらないように、予防を心掛けることも大切と言えるでしょう。

 

参考:【厚生労働省】 資料8-1 高齢者のうつについて 1.高齢者のうつの基礎知識

 

3章:高齢者の冬季うつを防ぐ生活習慣

冬季うつの予防には、薬や治療だけでなく、日々の暮らし方を整えることが大切です。ここでは実践しやすい3つの工夫を紹介します。

日光を浴びる・運動を取り入れる

日中に太陽の光を浴びることは、体内時計を整える効果があります。特に朝の散歩や庭での軽い体操はおすすめです。デイサービスを利用して外出やレクリエーションに参加すれば、自然と人との交流も増え、気分転換になります。

日照不足による気分の落ち込みを和らげるためにも、無理のない範囲で毎日の活動に取り入れていきましょう。

 

栄養バランスを整える

食事からのサポートも重要です。冬はビタミンDが不足しやすく、魚やきのこを取り入れることで補うことができます。

また、気分を安定させる働きを持つセロトニンを作る材料であるトリプトファンは、大豆製品や乳製品に豊富です。

毎日の献立に少しずつ加えることで、体と心の両方を整える助けになります。

 

生活リズムを一定に保つ

睡眠と活動のリズムが乱れると、気分の落ち込みが強まります。

就寝と起床の時間をそろえ、朝の支度や日中の予定をあらかじめ組み込むことが効果的です。

さらに、趣味の集まりなど仲間との交流を予定に入れておけば、自然に生活のリズムが生まれます。規則正しい暮らしは心の安定につながり、冬季うつの予防に役立ちます。

 

4章:冬季うつを悪化させないためには早期発見が重要

冬季うつを悪化させないためには、早期発見と早めの対処がカギとなります。

 

2章でお伝えした症状を見逃さないことに加え、体の不調があるけれど、検査しても異常が見つからない、といったわずかな兆候が冬季うつのはじまりかもしれません。

 

症状によってはケアマネジャーに相談したり、専門の医療機関を受診したりすることも検討してみてください。

 

まとめ:高齢者の冬季うつを予防して寒い季節を快適に過ごしましょう

高齢者の冬季うつは、症状を理解して早めに対応することで、予防や改善が可能です。家族や介護職の方々が日頃から高齢者の様子を注意深く観察し、気分の落ち込みや意欲低下などの変化に気づくことが何より重要といえるでしょう。

気になる症状が見られた場合は、かかりつけ医や専門医への早めの相談で、効果的な治療も選択可能です。また、規則正しい生活リズムや適度な運動、栄養バランスの取れた食事も症状緩和に役立ちます。

心と体の両方をしっかりとケアして、高齢者の皆さんが寒い冬の季節も快適に過ごせるよう、周囲が温かくサポートしながら冬を乗り越えていきましょう。