
朝晩の空気がひんやりしてきましたね。
日中はまだ汗ばむこともあるのに、夜になると急に冷え込む——
そんな「寒暖差の大きい季節」は、体にとって意外とストレスがかかります。
介護の現場では、利用者さんも職員も体温調節が難しく、体調を崩しやすい時期です。
今回は、秋の気温差に負けない冷え対策と、体を内側から整える温活のポイントをご紹介します。
なぜ秋は「冷え」に注意が必要なのか?

秋は1日の中で気温差が10度以上になることも珍しくありません。
この急激な変化に対応するのが「自律神経」。
しかし、疲労やストレス、睡眠不足などで自律神経が乱れると、うまく体温調節ができず、次のような不調が起きやすくなります。
・手足が冷える
・肩こり・頭痛・倦怠感
・眠りが浅い
・血圧が上下しやすい
特に介護職員は、屋内外を行き来したり、利用者さんの入浴介助をしたりで体温変化が多い仕事です。
冷えやすく、疲れが取れにくいと感じる人も少なくありません。
また、高齢者は筋肉量が少ないため熱をつくりにくく、血圧変動による体調トラブルにも注意が必要です。
体温調節を助ける「服装と環境づくり」

■ 重ね着のコツ
秋冬の体温管理で大切なのは「脱ぎ着しやすさ」。
おすすめは、薄手を重ねる“レイヤリング”です。
・ベースレイヤー(肌着):吸湿・速乾性のある素材で汗冷えを防ぐ
・ミドルレイヤー(中間着):空気をためて保温するニットやフリース
・アウター:風を通しにくいものを選ぶ
ポイントは「首・手首・足首」の “3つの首”を温めること。
スカーフ・アームウォーマー・靴下などを上手に使うと、全身の血流が良くなります。
■ 室内の温度管理
介護施設では、利用者ごとに快適温度の感じ方が違います。
・室温は 20〜23℃前後
・湿度は 50〜60%程度
を目安にし、加湿器やひざ掛けなどで調整をしましょう。
温度差が大きい廊下や脱衣所はヒートショックの危険もあるため、局所的な暖房も検討が必要です。
“内側から温める”温活習慣

冷え対策は服装だけでなく、「体の内側」から温めることも大切です。
毎日の生活に取り入れやすい温活法を紹介します。
■ 白湯(さゆ)を飲む
朝起きてすぐ、40〜50℃くらいの白湯をゆっくり飲むと、
・胃腸が温まり代謝が上がる
・血流が良くなる
・自律神経が整いやすくなる
といった効果が期待できます。
カフェインレスのハーブティーや生姜湯もおすすめです。
■ 「温め食材」を意識する
秋の旬食材には、体を温めるものが多くあります。
・生姜・ねぎ・かぼちゃ・れんこん・ごぼう
・鮭・サバ・味噌・納豆などの発酵食品
・黒豆・ごまなどの黒い食材
特に、発酵食品+根菜+たんぱく質の組み合わせは腸の働きを活発にし、免疫力アップにもつながります。
■ ゆっくり入浴する
忙しいとついシャワーで済ませがちですが、秋こそ湯船につかる習慣をつけましょう。
38〜40℃のぬるめのお湯に10〜15分ほど入ると、副交感神経が優位になり心身がリラックスします。
介護施設では、入浴後の湯冷めを防ぐよう、タオルや衣類を事前に温めておく工夫も大切です。
血圧変動に注意!冷えと血圧の関係

気温が下がると血管が収縮し、血圧が上昇しやすくなります。
特に高齢者では、
・起床直後
・入浴時
・排泄時
などに血圧の変動が大きく、ヒートショックの原因になることも。
対策のポイント
・朝起きたら、いきなり動かず布団の中で軽くストレッチ
・起床後すぐの入浴は避ける
・寒い場所に行く前に上着を羽織る
・食事前後・排泄後などに様子を観察し、体調の変化を記録する
介護現場では、「寒さを感じる前の一枚」「温度差をつくらない動線づくり」が重要です。
介護職員のための“仕事中の冷え対策”

介護職員自身も、動き回る時間と座る時間の差が激しく、冷えを感じやすいものです。
日々の中でできる小さな対策を積み重ねましょう。
・休憩中に温かい飲み物を一口ずつ
・足首・腰を冷やさない服装(腹巻き・レッグウォーマー)
・スキマ時間ストレッチ(肩回し・足首回し)
・帰宅後は湯船でリセット
また、冷えは「がんばりすぎのサイン」でもあります。
睡眠・栄養・休息のバランスを意識し、自分の体を大切にしてあげましょう。
利用者さんと一緒にできる「温活レクリエーション」
訪問介護の現場で実践できる 、楽しみながら体を温められるレクもおすすめです。
・座ったままでできる温活ストレッチ
・足湯や手浴でリラックス
・しょうが湯・ゆず茶づくり体験
・季節の食材を使った簡単料理・試食
これらは身体の血流を促すだけでなく、会話のきっかけにもなり、笑顔の時間が増える楽しい体験になるでしょう。
まとめ:秋の冷え対策で“冬を元気に迎える準備”を

秋の気温差は、体にとって小さなストレスの積み重ねです。
しかし、服装・食事・生活習慣を少し見直すだけで、体はぐっと軽くなります。
・体を冷やさない服装と環境づくり
・白湯や温め食材などの温活習慣
・血圧変動への注意
・職員・利用者ともに“あたたかさ”を共有する時間
この季節の工夫が、冬を元気に乗り切るための第一歩です。
今日からできる冷え対策で、心も体もぽかぽかに整えていきましょう。



