
日本は世界でも有数の高齢化社会となり、多くの人が「介護」と向き合っています。
特に、家族が自宅で高齢の親を支える「在宅介護」の負担は想像以上に大きくなるでしょう
親をできる限り自宅で世話したいという思いがあっても、実際には体力や時間を消耗し、精神的にも経済的にも大きなプレッシャーを抱えてしまいます。
この記事では、在宅介護の負担をやわらげるための方法や介護保険制度の活用の仕方、施設介護との違いについて解説します。
介護を一人で背負わずに、制度や支援を取り入れて続けやすい形を見つけるための参考にしてください。
介護の基本と制度のしくみ
介護には大きくわけて、以下の2つがあります。
- 在宅介護:自宅で家族が介護を担いながら外部サービスを併用する
- 施設介護:施設に入居して専門職のケアを受ける
いずれのパターンでも、介護保険制度が基盤になります。
介護保険制度とは、40歳以上であれば誰もが保険料を支払うしくみです。
要介護認定を受ければ、訪問介護やデイサービスなどのさまざまなサービスを1割から3割の自己負担で利用できます。
制度を正しく理解して必要に応じて申請・利用することが、介護の負担を軽減する第一歩です。
在宅介護の負担

在宅介護には、身体的・精神的・経済的側面で大きな負担が生じます。
まず、身体的な負担として、入浴や排泄、食事の介助にくわえ、夜間の見守りなどがあげられます。介護をする人自身が腰痛や睡眠不足に悩まされるケースもあるでしょう。
また、親を介護する立場になると「自分が頑張らなければ」と思うあまり、周囲に頼れず孤独を感じやすくなります。その結果、強い精神的ストレスを抱えて「介護うつ」と呼ばれる状態におちいる人も少なくありません。
さらに、経済的な負担も無視できません。
介護サービスの利用料や医療費が家計に重くのしかかるだけでなく、介護のために勤務時間を減らしたり、退職したりして収入が減少するケースもあります。
厚生労働省の調査では、介護者の半数以上が心身に強い負担を感じていると回答しており、在宅介護が家族だけで抱えきれるものではないことが明らかになっています。
在宅介護の負担を軽減するためのポイント

在宅介護の負担を軽減するには、以下の点を意識しましょう。
- 介護と仕事を両立する
- 家族の支えを得る
- 施設介護を利用する
在宅介護を続けるためには「一人で抱え込まない」という意識が必要です。
介護と仕事を両立する
近年では、仕事と介護を両立するための制度が整備されています。
たとえば、介護休業制度を利用すれば、最長93日間は仕事を休んで介護に専念できます。また、働きながら介護を続けるためには、介護休暇や短時間勤務制度の活用も検討しましょう。
介護は一時的なものではなく、何年も続く場合があります。そのため、仕事とどう両立していくかは多くの人にとって大きな課題となるでしょう。
現実には、年間でおよそ10万人が介護を理由に離職しているともいわれており、介護離職は深刻な社会問題となっています。上司や人事に早めに相談し、介護と仕事を両立させてください。
家族の支えを得る
介護を続けるためには、家族や兄弟と役割を分担し、負担を一人に集中させないようにしましょう。
介護する人が心身を消耗しすぎると、介護そのものを続けられなくなります。自分の時間を確保し、趣味や友人との交流を大切にしてください。
それでも不安やストレスを強く感じる場合は、カウンセラーや医師など専門家に相談しましょう。自分を大切にすることも介護の一部です。
施設介護を利用する
在宅介護に限界を感じたときには、施設介護を検討してください。
たとえば、特別養護老人ホームであれば、介護費用をおさえて長期的な入居ができます。
しかし、入居待機者が多く、すぐに入居できるとは限りません。
複数の施設に登録しておけば、スムーズに入居ができる可能性もあります。また、居住地に関係なく入所できる広域型特養への申し込みもおすすめです。
有料老人ホームであれば、サービスが手厚く安心感がありますが、その分費用が高くなるでしょう。認知症のケアを重視したグループホームなど、介護する家族と本人の状況に合わせた選択をしましょう。
施設介護の大きな魅力は、専門職による24時間体制のケアを受けられる点です。自宅で抱え込むのではなく、選択肢の一つとして前向きに検討してください。
まとめ

この記事では、在宅介護の負担をやわらげるための方法や介護保険制度の活用の仕方、施設介護との違いについて解説しました。
在宅介護は、家族の愛情や努力で支えられている一方で、長期的に続けるのは困難です。
在宅介護による身体的・精神的・経済的な負担を軽減するためには、介護保険制度や各種サービスを積極的に活用し、公的な支援を受ける必要があります。
また、介護は一人で抱え込むものではありません。まずは地域包括支援センターに相談してみましょう。
その一歩が、介護する人とされる人の双方にとってより安心できる未来につながります。




